2016-08-17 夏の夜の夢。 つぶやき 薄暗い路地裏の奥。重い扉をそっと押し開く。 カラン…。 控えめに、ドアに据えられたベルが鳴る。 マスターが、カウンターの中から視線だけ投げて寄越す。 「ミッド・サマー・ナイツ・ドリーム」 呟いた数分後には、 砕かれた氷に彩られたグラスが、スッと現れる。 真夏の夜の夢。 思い出すのは、かの沙翁が記した浮かれた恋の喜劇か。 はたまた、雅の国の粋で機知なる恋の返歌か。 …否、それは春の夜の夢の間違いか。 少し酔いがまわる夏の夜更けには、 冷たい汗をかいたグラスが、頬に心地よい。 tomo